AWS Cloud Practitionerとは
AWS Cloud Practitioner(正式名称:AWS Certified Cloud Practitioner)は、Amazon Web Services(AWS)が提供する認定資格の中で最も基礎的な位置づけとなる資格です。
この資格は、AWSクラウドの基本的な知識を持っていることを証明するもので、技術者だけでなく、営業やマーケティング、プロジェクトマネージャーなど、AWSに関わる幅広い職種の方を対象としています。
クラウドの概念、AWSのサービス、セキュリティ、アーキテクチャ、料金体系、サポートプランなど、AWSの全体像を理解していることが求められます。
試験の概要
AWS Cloud Practitioner試験の主な特徴は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験時間 | 90分 |
| 問題数 | 65問 |
| 出題形式 | 選択式(単一選択・複数選択) |
| 合格ライン | 700点/1000点満点 |
| 受験料 | 100米ドル |
| 試験言語 | 日本語・英語など複数言語対応 |
| 有効期限 | 3年間 |
出題範囲
試験は主に以下の4つのドメインから出題されます。
- クラウドの概念(24%)
- クラウドコンピューティングの定義と利点
- AWSクラウドの経済性
- クラウドアーキテクチャの設計原則
- セキュリティとコンプライアンス(30%)
- AWSの責任共有モデル
- AWSのセキュリティとコンプライアンスの概念
- アクセス管理機能
- クラウドテクノロジーとサービス(34%)
- AWSのサービスとその使用方法
- AWSグローバルインフラストラクチャ
- サポートリソース
- 請求、料金、およびサポート(12%)
- AWSの料金モデル
- アカウント構造と請求
- コスト最適化のためのリソース
どんな人におすすめか
AWS Cloud Practitionerは、以下のような方に特におすすめの資格です。
- AWSを初めて学ぶ方
- クラウドの基礎知識を体系的に学びたい方
- AWS関連のプロジェクトに関わる非技術職の方
- より上位のAWS認定資格を目指す前のステップとして学習したい方
- IT業界でのキャリアアップを目指している方
この資格を取得することで、AWSクラウドの基本的な理解を証明でき、クラウド関連のプロジェクトでのコミュニケーションがスムーズになります。
また、より専門的なAWS認定資格(Solutions Architect、Developer、SysOps Administratorなど)へのステップアップの土台としても最適です。
AWS Cloud Practitionerの難易度はどれくらい?
AWS Cloud Practitioner試験は、AWSの認定資格の中では最も基礎レベルに位置づけられています。
そのため、「簡単に取得できる資格」というイメージを持たれる方もいるかもしれません。
しかし、私はそれなりに勉強時間の必要な試験だと感じました。
覚えるべきサービスの多さ
AWS Cloud Practitioner試験の難しさの一つは、覚えるべきサービスが非常に多いという点です。
AWSには数百ものサービスが存在しますが、試験では主要なサービスについて幅広く問われます。
各サービスの名称、主な機能、どのような場面で使用するのかといった情報を整理して覚える必要があるため、勉強時間はそれなりに必要です。
IT初心者にとっての難しさ
IT初心者の方にとっては、AWSのサービスだけを勉強してもなかなか理解が深まらない可能性があります。
例えば、「AWS Lambdaはサーバーレスコンピューティングサービスです」と説明されても、そもそもサーバーレスとは何なのか、サーバーレスを使うことで何が嬉しいのかといった背景知識がないと、なかなかLambdaのことを理解できないと思います。
「ITシステムを作ろうとするとこういった課題があるよね」→「AWSのこのサービスを使えば解決できる」という文脈を理解することでサービスの特徴や利点が腹落ちしやすくなるのではないでしょうか。
しかし、IT初心者の方にとっては、この「課題」の部分がイメージしづらく、結果としてサービスの必要性や利点が腹落ちしにくいという難しさがあります。
そのため、IT初心者の方にとっては、ITの一般的な知識も身につける必要があります。
実際に、私の会社の同期でIT知識がほとんどない状態から学習を始めた人は、この点で特に苦労していました。
筆者の受講前の状態
- 社会人1年目(院卒)の10月
- AWSについての知識は全くなし, AWSを触ったこともない
- ITについては少しだけ知識がある
- WEBサイトなどは個人開発レベルでは作れる
- CDNやDNSと言われれば概要はなんとなくわかる
AWS Cloud Practitionerの勉強方法
私は約3週間ほどの学習で合格することができました。
書籍などは購入せず、全てWEB上の教材で完結させました。使用したのは以下の2つです。
- AWS Skill Builder
- Udemyの問題集
無料で利用可能なおすすめ教材:AWS Skill Builder
AWS Skill Builderは、AWSが公式に提供している無料の学習プラットフォームです。 アカウントを作成するだけで、様々な講座やトレーニングコンテンツにアクセスできます。
一部有料コンテンツもありますが、無料の範囲でも十分役立ちます。
私は以下の3つの講座を受講しました。
1. Official Practice Question Set: AWS Certified Cloud Practitioner
この講座は、試験形式や問題の難易度を体験できる公式の練習問題セットです。
- AWS公式が提供する20問の練習問題
- 実際の試験と同じ形式で出題される
- 各問題に詳しい解説が付いている
私は勉強開始時と試験直前の2回、この問題セットを受講しました。 学習開始時と試験直前の2回受講しました。 試験直前には8割以上正解したいところです。
2. AWS Cloud Practitioner Essentials
この講座は、AWS Cloud Practitioner試験の核となる学習教材です。
- 所要時間は約7時間
- 動画とテキストの両方の形式で学習可能
- AWS Japanのスタッフが日本語で作成しており、AWS初心者でも理解しやすい内容
- Cloud Practitioner試験の大部分をカバーする包括的な内容
3. 各Domainのレビュー講座
試験範囲の各分野(ドメイン)について、重要ポイントを復習できるレビュー動画です。
- 試験の4つのドメインそれぞれについて解説
- 重要なポイントや頻出する知識について集中的に学習できる
- 実際の試験で問われやすい内容を効率的に復習可能
注意点: この講座はレビュー形式のため、AWSの基礎知識がない状態で受講するのはおすすめしません。 「AWS Cloud Practitioner Essentials」を受講してから取り組むことをおすすめします。
Udemy講座:【CLF-C02版】この問題だけで合格可能!AWS認定クラウドプラクティショナー模擬試験問題集(6回分390問)
この講座は、実践的な問題演習を通じて試験対策を行うための教材です。 私は会社でUdemyを使えるので、こちらを使用しました。
単価は7600円もしますが、Udemyは頻繁にセールをやっているので、安く買うことも可能だと思います。
- 講座の特徴:
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- 実際の試験と同じ65問の問題セットが6回分(合計390問)用意されている
- 各問題に詳しい解説が付いており、理解を深められる
- 問題の難易度が段階的に設定されている
- 実際の試験との比較
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- 問題文は実際の試験と非常に類似しており、この講座で解いた問題と似た問題が複数出題されました
- 選択肢は本番よりもやや難しく設定されているため、この講座で高得点が取れれば本番でも安心できると思います。
- 目標スコアの目安:
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- 基本レベル①、②: ここは8割以上取りたいところです。
- 本番レベル①、②: 上記の通り本番よりもやや難しめかなと思います。7割以上取れればOK
- 本番レベル③、④: かなり難易度が高いため、6割以上取れればOK
私はこの問題セットを2周しました。1周目はどのセットも目安には届いていません。 2周目で目安に届いたという感じです。
まとめ
AWS Cloud Practitioner試験に合格したときの勉強法について紹介しました。
- 学習教材の組み合わせ:
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- AWS Skill Builder: 無料で利用できる公式教材。特に「AWS Cloud Practitioner Essentials」(約7時間)は試験範囲の大部分をカバーする必須教材
- Udemy模擬試験: 実践的な問題演習(6回分390問)で、本番に近い形式で学習できる
- 学習の進め方:
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- AWS Skill BuilderのAWS Cloud Practitioner Essentialsで基礎知識を勉強
- 各Domainのレビュー講座で重要ポイントを復習
- Udemy模擬試験で実践力を養う(2周)
- ポイント:
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- 基礎知識なしでレビュー講座に取り組むのは非効率
- Udemy模擬試験は本番よりやや難しめに設定されているため、目安スコア(基本レベル8割以上、本番レベル6-7割以上)を達成できれば本番でも安心
- 公式教材とサードパーティ教材をバランスよく活用することが合格への近道